法橋は,プラネタリーヘルスは“地球環境(惑星環境)と人間の健康との交互作用を理解し,地球全体の持続可能な未来を構築するための学際的な学問分野”と定義している.
プラネタリー[planetary]は,“惑星の”“地球の”という意味である.人間は地球環境(惑星環境)システムの一部であり,家族員のウェルネスや家族のウェルビーイングは地球環境(惑星環境)と関係しているため,看護学領域においても重要な概念である.家族同心球環境理論[Concentric Sphere Family Environment Theory,CSFET]では,スープラシステムの“生物圏”にプラネタリーヘルスが含まれており,プラネタリーヘルスと家族ウェルビーイングの関係を理解できる.
現在,地球規模で進行する環境変化や環境破壊(たとえば,気候変動,自然災害,里山の自然破壊など)が,家族員や家族におよぼす影響は深刻化している.プラネタリーヘルスは,環境問題,公衆衛生,経済発展などの領域を横断的に結びつけ,持続可能な未来の構築に向けて意識変容・行為変容を促すための指針を提供する.プラネタリーヘルスへの理解を深め,対策を講じるための知識を提供するために,2017年から『The Lancet Planetary Health』が刊行されている.